Abstract
ヨハン・クリストフ・アルトニコルJohann Christoph Altnickol (1720-1759) は、J.S.バッハの晩年の弟子の中で最も重要な人物の一人である。バッハの作曲と改訂のプロセスを理解するうえで、貴重な筆写譜の数々を我々に残してくれた。1744年に書かれた平均律クラヴィーア曲集第二巻(D-B, Mus. ms. Bach P 430)の筆写譜が時期的に最も早い。この楽譜は師から決定版としての浄書譜を作成するように要請されたものらしい。しかし、その後に書かれた筆写譜群に関してはまだはっきりとしたことは掴めておらず、体系的かつ詳細にわたる精査が待たれる。バッハ研究にとって特に重要なのは、18のコラール集に含まれている2つのコラールBWV 666と667(D-B, Mus. ms. Bach P 271)、フランス組曲 BWV 812-817(US-Wc ML96.B186 Case)、ヴァイオリンソナタ BWV 1014-1019(D-B, Mus. ms. Bach P 229)、そして1755年に筆写された平均律クラヴィーア曲集全2巻で、そのいずれもが彼が1748年にライプツィヒを離れた後に書かれた可能性が高い。
アルトニコルの筆跡研究には、1970年のA.デュルによる論文があるが、その後P. ヴォルニーにより、重要な指摘が数回なされている。本論では、アルトニコルの手による手稿譜で現存するものを全て収集し、筆跡を再精査することにより、新しい年代特定を試みる一方、楽譜自体をテキスト批判的観点からの再評価を通し、筆写者としてのアルトニコル像とバッハによる自作品の改訂の過程の再評価へと繋げていきたい。
アルトニコルの筆跡研究には、1970年のA.デュルによる論文があるが、その後P. ヴォルニーにより、重要な指摘が数回なされている。本論では、アルトニコルの手による手稿譜で現存するものを全て収集し、筆跡を再精査することにより、新しい年代特定を試みる一方、楽譜自体をテキスト批判的観点からの再評価を通し、筆写者としてのアルトニコル像とバッハによる自作品の改訂の過程の再評価へと繋げていきたい。
Translated title of the contribution | A hidden aspect of Bach's works revealed through the research on the manuscript copies in the hand of J. C. Altnickol |
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Original language | Japanese |
Publication status | Unpublished - 04 Nov 2018 |
Event | Musicological Society of Japan, the 68th National Conference 日本音楽学会第68回全国大会 - Toho Gakuen Daigaku, Tokyo, Japan Duration: 03 Nov 2018 → 04 Nov 2018 http://www.musicology-japan.org/activity/convention/conv2018 |
Conference
Conference | Musicological Society of Japan, the 68th National Conference 日本音楽学会第68回全国大会 |
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Country/Territory | Japan |
City | Tokyo |
Period | 03/11/2018 → 04/11/2018 |
Internet address |
Keywords
- Bach, Johann Sebastian
- Altnickol, Johann Christoph
- Bach Source Study